戸建住宅の洗濯機「防水パン」は本当に必要ないのか?!
近年、建売戸建住宅では、洗濯機用の防水パンが付いていない物件が多数を占めるようになりました。そんな状況下において、不動産業者や建売販売業者の中には、「洗濯パンは不要です。」と言う人も多く存在しています。
また、同時に一般の人々の中にも、「掃除がしにくい(洗濯パン自体の掃除)」という各自の感覚から、「洗濯パンは無いほうが良い」と思っている人(口コミとして発言している人)も少なくないように感じています。
でも、本当に戸建住宅に洗濯パンは必要ないのでしょうか?!
目次
- 1 結論!!「洗濯パン」は利用者の判断で設置しなくてもいいですが、あったほうが機能的に良い要素です。
- 1.1 洗濯パン設置のデメリットを上げるとしたら、ただ1つ。洗濯パンと壁との間が掃除しにくいということのみ。
- 1.2 洗濯機メーカーは、「結露水対策」として防水パンの設置を推奨しているのです。
- 1.3 洗濯機下の掃除は床面だけでなく、排水口内の掃除も必要。洗濯機を動かすことなく、掃除ができることが大きなメリットに。
- 1.4 今、防水パンが無い場合!「かさ上げ台」を利用しましょう
- 1.5 給水・排水接続口からの漏水や水の滴りを受けるとともに、排水口へと流す機能。
- 1.6 案外知られていない、「ドラム式洗濯機の振動問題」。防振対策としての役割も防水パンは担っています。
- 1.7 ”防水パン”の新規設置・交換
- 1.8 併せて読みたい「脱衣所・洗面所」関連記事
結論!!「洗濯パン」は利用者の判断で設置しなくてもいいですが、あったほうが機能的に良い要素です。
先に、結論からお話すると「洗濯パンは不要」と言うのは間違いです。
もちろん、利用者(居住者)の判断として、洗濯パンを利用しないということは有りですが、不動産業者や建売住宅販売者の立場として、「洗濯パンは不要です。(戸建住宅の一階)ですから、当物件では洗濯パンを設置していません」と言うのは、絶対に間違っています。
これは明らかに、販売者側のエクスキューズ(言い訳)なんですよね。
きちんと伝えるのであれば、せめて「洗濯パンは機能上設置しておいたほうがよりよいのですが、無くでも水漏れなどの大きな心配は少ないので、問題はありません。(ゆえに、当物件では設置していない)」と言うべきだと思うんですよね。
販売者側が正確な説明をしていない(説明不足)ので、利用者側も間違った認識を有している人が多くなってしまうのだと感じています。
ちなみに、洗濯パンは「2階以上の上階には設置する」のが、常識となっています。ですから、マンションには必ず設置されていますし、戸建住宅でも2階以上の階には設置されているもの。
ゆえに、マンションなどではあまり問題とはならない問題(洗濯パンの設置有無)ですので、ここでは戸建住宅(主に木造建売戸建住宅)を対象として、話を記していきたいと思います。
洗濯パン設置のデメリットを上げるとしたら、ただ1つ。洗濯パンと壁との間が掃除しにくいということのみ。
洗濯バンのメリット(機能性)について語る前に、唯一と言える選択パン設置のデメリット要素をお話しておきたいと思います。それが「洗濯パンと壁との間に掃除がしにくい部分が生じる」ということ。思いつくデメリットとしては、この1要素くらいです。
しかし、これは「洗濯パンの設置方法」に起因している要素であって、基本的には壁と洗濯パンの隙間を十分に確保するか、もしくは逆に隙間を「シール処理」にてなくすように設置すれば解消される問題なのです。
ゆえに、洗濯パン自体の課題(デメリット)というよりも、洗濯パンの設置方法の問題と言えるものと思っています。
洗濯機メーカーは、「結露水対策」として防水パンの設置を推奨しているのです。
一番最初に洗濯パンの機能性(メリット)として取り上げておかなければいけないのが、「結露水対策」という要素です。基本的に洗濯機を製造・販売している各家電メーカーは、この結露水対策を主として、洗濯パンの設置を推奨しているのです。
このことは、案外あまり知られていなかったりするんですよね。洗濯機も多様化していますので、すべての洗濯機に共通しているとはいいませんが、それでも基本的に洗濯機の底面部や内部には金属素材が活用されています。
それゆえに、洗濯機設置場所の環境(湿度環境、換気環境)によっては、洗濯機に多くの結露水が付着、それが洗濯機の底部に滴り落ちることがあるのです。水漏れと比較するとも水の量としては、少ないものですから、一般の人はあまりその存在を意識することは少ないのかもしれませんね。
しかし、結露水の影響は長年の繰り返しによって創出されてくるもの。一番大きな影響としては、洗濯機下の床下地を痛めてしまう(木材の腐食や老朽化を促進)ということなのです。
住宅リフォームなどの設計に携わってきた経験から感じるのは、新築後5年以上経過した住宅を対象とすると「洗濯パンを設置しているお宅の床状態(洗濯機下の床)と設置していない住宅の床状態(洗濯機下の床)では、床構造の痛み方(老朽化度合)には、差があることが多い」ということです。
もちろん、洗濯パンを設置している住宅のほうが、洗濯機下床の痛みが少ないんですね。
実際、建築士としてリフォーム計画のご相談などを受けた時、「脱衣所(洗面所)洗濯機下の床」が腐食が進行しているということは、少なくないんですよね。
防水パンを付けているお宅では、あまり、このような状況(上写真)とはなっていませんが、防水パン未設置の家では、やはり床が腐食しやすい傾向があります。
洗濯機(排水ホースなど)からの水漏れがしにくくなったといっても、水漏れが無くなったわけではありませんので。昔と比較すると、水漏れが少ないというだけで、排水ホース接続部からなどの水漏れは、それなりに存在しているのが実情です。
住宅のためを考えると、防水パンは無いよりも、あったほうが良いのです。
洗濯機下の掃除は床面だけでなく、排水口内の掃除も必要。洗濯機を動かすことなく、掃除ができることが大きなメリットに。
まず、基本として理解しておいていただきたいのが、「洗濯機はあまり動かさないほうが良い」ということです。洗濯機はその構造上の問題や給水・排水管の接続という要素があることから、頻繁に洗濯機を動かしたりしていると、故障やトラブルに繋がりやすいのです。
ゆえに、掃除をする時にも、基本的には洗濯機を動かすことなく、掃除ができることのほうが好ましいんですね。もちろん、洗濯機の重量の問題もありますから、いちいち洗濯機を動かすこと自体が不便な要素ともなるものです。
そういう意味で、近年高い機能性を有しているのが、下記のような四隅が高くなっている防水パン(かさ上げ防水パン)です。
このデザインの洗濯パンであれば、洗濯機を動かすことなく、洗濯機下を手軽にお掃除することができるんですね。
昔は、単に平らな洗濯パンが主流となっていましたが、それだと確かに洗濯機下の掃除のしにくさが変わらないどころか、洗濯機の移動がしにくいので、防水パンが無いほうが掃除がしやすいと感じる人も少なくなかったものと思います。
しかし、近年設置を推奨しているのは、このような四隅が高くなっている洗濯パンのこと。現代の分譲マンションでは9割がたこのタイプの洗濯パンが設置される傾向となっています。
私が洗濯パン設置を推奨しているのも、このタイプ(かさ上げ防水パン)のことです。
昔の平らなデザインの防水パンではありません。また、このデザインなら、「排水口内部」の清掃を洗濯機移動することなくできるのも大きな利点となります。
一般的に「防水パンがあると掃除がしにくい」と感じている方の多くは、上記のような防水パンではなく、昔ながら平らな防水パンを利用しているケースが大半です。現在の防水パンは掃除がしやすいデザイン構造となっているんですね。
昔ながらの平らな防水パンを利用している方におすすめなのがこちらの洗濯機台 かさ上げ用 イージースタンドというアイデア商品です。
今使っている防水パンの上にイージースタンドを設置して、その上に洗濯機を置くようにすれば、掃除及び排水口のメンテナンスが容易となる商品。これは、すぐにでも設置しておくことをおすすめしたいアイテムです。
もう少し、価格がお安いのだと、こちらの洗濯機用かさ上げ台 《かさあげくん》 1セット4個入りも同じ機能を有していますので、現在、フラット型防水パンを利用されて至る方は、ぜひ、「かさ上げユニット」を活用してはいかがでしょうか。
今、防水パンが無い場合!「かさ上げ台」を利用しましょう
今、防水パンが無い状態で「新規に防水パン設置をするかどうか悩んでいる(プチリフォームを含む)」ようであれば、まずは上記写真のような「洗濯機用かさ上げ台」を活用していただければと思います。
この時、ぜひ考慮しておきたいのは
・キャスターだけでなく、固定用の脚が付いていること
・洗濯機の振動に対して、防音・防振機能のある防振パッドが付いていること
・全体のサイズが自由に変更できること
です。
上記要素をすべて有したあすすめアイテムはこちらの「sabotenn洗濯機 かさ上げ 台(防振 減音効果 防振パッド付き)※上記写真」です。
給水・排水接続口からの漏水や水の滴りを受けるとともに、排水口へと流す機能。
これは昔から知られている機能要素です。近年の洗濯機は昔と比較して、「漏水」は生じにくい構造となっています。
ゆえに、基本的には大きな漏水被害の心配はありませんが、それでも日々洗濯機を使う上で、給水管・排水管の接続部からの漏水や水の滴りは生じる可能性があるもの。
そんな水を防水パンが受けるだけでなく、きちんと排水口へと誘うことも大切な機能のひとつとして、存在しています。
※水回り(洗面所・脱衣所など)のちょっとしたリフォームをする時は、自然の適切な見積もり比較(無料で見積もりを取って内容比較する)がとても大切です。内容(費用・期間)に大きな差があるのが実情ですので。
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案外知られていない、「ドラム式洗濯機の振動問題」。防振対策としての役割も防水パンは担っています。
近年、シェアーを高めつつあるのが「ドラム式洗濯機」です。ただ、ドラム式洗濯機には、大きな洗濯機能上のメリットがある反面、生活環境に及ぼすデメリットが存在しています。
それが『振動』の問題です。通常の洗濯機と比較して、洗濯機稼働時に洗濯機自体の振動が周囲に大きな影響をもたらすことがあるんですね。振動によって、「騒音」が発生する場合もあります。
そんなドラム式洗濯機において、案外知らていないのですが「防水パンが防振機能を担う要素となる」ということです。これは、通常の洗濯機の場合でも同じことが言えます。(脱水時など)
床面に直接ドラム式洗濯機を置いた場合、床の固有振動数などの問題で、共振という現象が発生、振動が増幅されてしまうことがあるのです。
振動が少ないと歌われているドラム式洗濯機であったとしても、いざ設置活用してみたら、思いのほか振動が大きく感じられたというケースは少なくないもの。
それは設置環境によって、振動が増幅されてしまうようなケースがあるからなのです。
そんな振動に対して、ひとつの対策となりうるのが「防水パン」なんですね。
本来の使用用途とは異なるのですが、洗濯機の振動を床に直接伝えるのではなく、洗濯パンによって緩和することに繋がることがわかっています。
洗濯機の進化に伴い新たに生まれてきた洗濯パン機能と言えるのかもしれませんね。ただ、「振動の問題」に対して、やはり防水パンだけでは、対処できないもの。
そこで併用しておきたいのが、「防振ゴム」です。
最も、お手軽に自分で設置使用できるのが、こちらの洗濯機用防振ゴム・ニューしずか(4個入り1セット) TW-660黒。
洗濯機の脚4か所に設置することで、「揺れ」及び「音」を軽減してくれます。
ドラム式洗濯機の場合は、もう少し防振性の高い、こちらのハイパー防振ゴムマット(和気産業 WAKI)がおすすめに。
”防水パン”の新規設置・交換
防水パンを新規に設置、旧型の防水パンの機能性の高いかさ上げ防水パンに交換をする時に、配管工事が必要となることがあります。
ゆえに、工事費としては
・防水パン設置
・排水管の切り回し工事
を念頭にしておいていだたければと思います。
防水パン工事は軽工事に属する内容となりますので、大規模な工務店などに依頼してしまうと費用が割高となります。
防水パンの種類になどよって価格は変動しますが、材料と工事込で「約¥28,000円~¥40,000円」程度が目安となるかと。
防水パンの設置・交換工事を依頼する上で関東周辺であれば「適正価格&安心&手軽さ」という観点からおすすめできるのが
*イエコマ
です。
工事内容・工事費用が明瞭となっているのがおすすめポイントに。
防水パンの設置と共に洗面所のリフォーム(壁紙・床仕上げの修繕)も併せて行うのではあれば、まずは下記サイトを通じて複数の施工会社から「工事概算見積」を得るといいかと思います。
リショップナビでは専門のコンシェルジュがいますので、「どの施工業者(複数)に対して見積依頼をすればよいのか」など気軽な相談・アドバイスが得られますので、初めての方でも安心です。
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